No.001

Kawai Kei河合 桂

漆工専攻

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工芸科漆工専攻 河合桂さんインタビュー

漆工専攻4回生の河合桂さんに普段の制作活動や専攻などについてお話を伺いました。

どんな作品を制作していますか?

1回生のときに親戚の旅行のついでに奈良の大仏を見て、仏像そのものと仏像が在る空間にものすごく圧倒されました。その経験から、工芸基礎の漆の課題で仏具を模したステッキを作りました。
その後はしばらく違うものをモチーフに制作していましたが、3回生のときに仏像の髻(もとどり)に興味を持ちました。仏像は宝冠を被っているので正面からではどんな髪型をしているのかイマイチ分かりませんが、案外すごく変な形をしてます。例えば文殊菩薩の髻はお団子が五つとか八つあってポコポコしています。
はじめは可愛いとか面白いとか…正直興味本位で仏像をモチーフにした作品を制作していました。でも仏像の修復をされている先生から助言をいただいたことをきっかけに、今はちゃんと仏像の様式や信仰についての勉強をしています。

河合さんが1回生の工芸基礎のときに制作した漆作品、すごかったです。

もう気合の入り方がすごかったです。自分でもなんでこんなに熱が入っているんだろうって(笑)。
いつまでも木をこだわって彫っていたので、なかなかカシュー(漆の合成樹脂塗料)を塗り始めることができませんでした。研いで下が出てくるのが嫌だったので、最後は艶上げをせずに終わってしまいました。埃がバチバチに入っていましたが、研がなくても綺麗に光ると思いこんでいました(笑)。

漆工の技法・素材は自分のしたいことと合致していますか?

私は割と合ってると思います。艶上げした黒色が漆のイメージかと思いますが、私はそれをあまり意識していません。
専攻の雰囲気としてもみんな自由にやってると思います。京芸のちょっと泥臭い感じが私は好きなので良かったです。

漆の魅力的な工程はなんですか?

断然、貝を切る時と貼る時が好きです。
まず針でピーっと5ミリくらいに切って、一個一個置きます。そのあと研ぎ出して艶上げて、ビカーってなるその瞬間が好きです。結構めんどくさいけど、めんどくさがったら終わりかなと思います。

どうして京芸の漆工専攻に入ったんですか?

お母さんが京芸の油画専攻出身ということもあり、私が京芸を意識し始めたのは小学生のときです。当時はお母さんの絵画教室によく遊びに行っていました。
漆工専攻に入りたいと思ったのは浪人のときです。私に考えるきっかけを与えてくれた先生が、漆で雲中供養菩薩が乗ってる雲を制作されていました。作品展でそれが吊られて浮いた状態で展示されているのを観て、「漆めっちゃいいな!」って思ったんです。

これからどんな制作をするんですか?

前期から取り組んでいる制作を継続していきます。如来の横に菩薩が二対ある三尊が完成のイメージです。
初めは仏像の全身像のようなものを作るつもりでしたが、どうしても本物の仏像の造形に作品の形が引きずられてしまいました。私は仏像を作りたいのではなく、仏像が空間を飲み込む支配感のようなものを表現したいと思っています。なので様式を意識しつつも、仏像から受けた感覚を素直に形にしたいです。

2年前から作品展が学内になりましたね。

普通の制作室に作品ドンって置いている…そんな異空間な感じが面白いです。どんな所で作ってるのかを見たり、いろんな景色が見れるので飽きないと思います。

制作のルーティーンや、何か息抜きはありますか?

大学の行き帰りは音楽を聴きます。気持ちが切り替わります。
最近、漆を研いでいるときも音楽を聴くようになりました。以前は全く聴かなかったんですが、同級生に「何で聴かへんの?けいちゃんって研いでる時何考えとん?」って聞かれてから聴きはじめました。何も考えずに無心で研いでいたんですけどね(笑)!
あと最近、制作室にお茶セットを導入しました。中国の子がお茶を持ってきてくれたりするので、みんなで休憩しています。そういう時間がないとね(笑)!

お話ありがとうございました!