美術科版画専攻 廣川秀さん、高木柚衣さんインタビュー
版画専攻4回生の廣川秀さん、高木柚衣さんに普段の制作活動などについてお話しを伺いました。
普段何を考えて制作していますか?
廣川さん:
とにかく自分らしいかどうかですね。やっぱり評価というのはすごく考えてしまうけれど、最近はそれを気にしていたら作品を作ることができないってなってきたので…やりたいように、自分らしさだけを考えて作るようになった。
高木さん:
私は水性木版の刷り上がりがすごく好きで制作をしているので、一番はどの作品も完璧にちゃんと刷り上げることを意識していますね。
作業時間は自分で管理して行っていますか?
廣川さん:
僕は家にいて作業できないタイプの人間なので、あと生活習慣が乱れるのが嫌なので、学科授業の時と同じくらいの時間帯にとりあえず学校に来て、学校にいるという状態を作っています。あと、シルクスクリーンは人数が多いので、刷り台を早めに取るということから始まりますね。
高木さん:
私は13時くらいから夜まで。絶対に来る時は、雨が降って湿度が高い時。この日は刷りがうまくいきやすいから来ますね。
版画専攻って割とアカデミックな雰囲気がある気がしますが、どう思いますか?
廣川くん:
複数性に関してははっきり言って3年くらいの時に諦めましたね(笑)そこにとらわれていると制限されてしまう気がして、考えなあかんと思いつつあまり考えていないですね。京芸の場合はアカデミックな部分がありつつ、新しい部分も受け入れて評価も批評もしてくれていると感じています。
高木さん:
複数性というのを考えずに作りたいけど、考えざるを得ない雰囲気はある気がしますね。
東京藝大と一緒に展覧会をした時には、作風の違いを感じました。
高木さんは卒業後就職されますが、作品は作っていくと思いますか?
高木さん:
おそらく大きい作品は作れなくなってくるだろうなぁと思っていますが、小さい作品は作れたらいいなぁとは思っています。
廣川くんの今後の野望は?
美術っていうものに関わっていきたいとは思っていますね。そもそもモノを作ることが好きだし、今やっていることもすごく楽しいです。ただまぁ現実的なものを見た時に果たして自分が作家としてやっていけるかという保証はないし、やっていける自信というのも大きいわけではないですね。もちろんなりたいとは思うんですけど。そう考えた時にたとえ人に言わせれば趣味の範囲でも、美術とか版画とかそういうものに自分の中で納得できる形は見つけたいとは思います。
廣川くんは好きな作家はいますか?版画に限らず…
廣川くん:
やっぱりイヴ・クラインかなぁ。イヴ・クラインの人体をありのままうつしとるような部分には影響されているだろうし、憧れてはいるのですが、あの人のやりたかったことを受け継いでやっていきたいという気はあんまりないです。やっぱりすごくかっこいいとは思うのですけど。
高木さんに聞きたいのですが、美術界というのを意識して作品制作をしていますか?
高木さん:
私がやっている水性木版は、個人的に今、現代の作家の中で使われ方が変わってきている気がしています。浮世絵のような細い線だけではなくて、その技法を生かした作品作りに変わってきているから、どちらかというと、自由にできる分野なのかなぁと感じています。なので美術の一線上にいることを意識して作るというよりかは、今自分の作りたいことを自由に作ることを意識しているかもしれないです。
制作展について聞きたいのですが準備などはもうしてますか?※個展など。
廣川くん:
まだしていないです(笑)個展に関しては逆に額装する作品をほとんど作ったことがないので、個展しないにしても場所はちょっと変わったところでしたいですね。ホワイトキューブは性に合わないから…やってみても面白いとは思うのですが、まだ未定です。
高木さん:
場所次第で出来たら個展したいです。
※版画専攻では学内の制作展の際、その年卒業するものを優先に教室一室を使って自分の作品を並べる空間を作ることができます。
では最後に、版画について、版画のこれからについてどう思いますか?
廣川くん:
表現の方法として概念的にぱきっと分かれているところはあるなと思っていて、複数性や間接性といった内容で制限されている分、独立性があるというか…だからこれからの版画がどうなるかはまだわからないですね。
高木さん:
版画って色々経験して、狭い分野だなと思いました。ほとんどの人が知り合いだったりして。その狭さがいいのか悪いのか。その狭さが少し怖いと思ったりもします。